今回は、去る2月24日(日)に開催された「権利擁護・成年後見インストラクター養成講座」、その午後の部の概要紹介をしようと思いますが、その前に、「 障害者自立支援法下の 地域生活支援事業所ガイドブック 〜小規模からでも目指せる多機能・多角な経営戦略〜 」(特定非営利活動法人 全国地域生活支援ネットワーク)の一文を紹介しましょう。
今回の「権利擁護・成年後見インストラクター養成講座」のもつ意義なり、位置づけが理解できるように思います ![]() さて、午後の部は、全国育成会ネットワーク権利擁護プロジェクト事務局の堀江まゆみさん(白梅女子短期大学教授)の司会進行によるシンポジウムでした。 シンポジウムというのは、一つの問題について、数人の人が意見を発表し、それについての聴衆の質問に答える形で行われる討論会のことですが、聴衆の質問に答える形でのと討論会となったかどうかは別として、シンポジストはどなたも、熱く思いを語られました。 ◇ ◇ ◇ 〔社会福祉士 田中洋子さん(広島県社会福祉士会会長)〕 ![]() 〜広島の最近の動き〜 ・申し立て件数が大きく伸びてきている。その相談の主訴例を幾つかあげると、 金融機関における本人確認によって預貯金の引き出しが出来なくなったことから 本人の意思確認なしには施設契約が出来なくなったことから 消費者被害に遭った、また遭いそうであることから 福祉サービスを受けるための契約が理解できないことから 本人の年金が使い込まれているなど経済虐待をうけていることから 両親が亡くなり相続問題が起きたことから 両親が亡くなり保護する者が誰もいなくなったことから 母親が後見人をしていたが、認知症になり後見活動が出来なくなったことから などである。 ・しかし依然として家族後見人が8割に及んでいるという現状がある。 家族後見人が悪いわけではないが、多くの場合後見人としての役割を果たし切れていない状況がある。 ・親と後見の違いをしっかりと認識しなければならない。自覚した距離感が必要である。 ・弁護士会、司法書士会、社会福祉士会が第三者後見人の受け皿となっている。 ・次のようなときには後見制度を活用すべきと思う。 明らかに経済虐待を受けているとき 明らかに身体的虐待、ネグレクト、性的虐待を受けているとき 本人にふさわしい支援、サービスがなされていないとき 家族がいるいないにかかわらず、本人の財産で本人の暮らしが護られないとき 本人を護るべき財産がなく、本人の暮らしが護れないとき 制度や福祉サービスだけでは、本人の生活が護れないとき 本人が騙されている(経済的、精神時)ことを自覚していないとき ・ただし、後見制度にも限界があることを承知しておきたい。 身元引受人、保証人、医的侵襲行為 などはできない。 〔地域生活支援センター「もやい」 寺尾文尚さん((社福法人)ひとは福祉会理事長)〕 ![]() ・サン・グループの事件を契機に「広島人権擁護センターほっと」を設立した。 ※ここで文量は増すことになりますが、寺尾さんの思いへの理解を深めるために、「ほっと」設立の契機となったサン・グループ事件を概観することにします。2007年10月16日のブログで取りあげた事件も、このサン・グループ事件を思い浮かばせました。
・現行の苦情解決制度「第三者委員会」には、委員を施設側が任命するという根本的な問題がある。 ・人権侵害防止とともに、市民としての権利を回復するように人権推進の活動が不可欠である。 ・「ほっと」の理念は、 地域住民からの様々な相談への対応(相談には即応) 社会福祉施設における権利擁護とサービス向上(第三者委員活動) 人権意識向上のための啓発・研修 人権に関する問題の実態把握(調査・研究) 市民とともに制度の改善・確立への働きかけ(市民運動) ・「ほっと」が受けた深刻な相談例として、 <学校で> 「学校に来さす前に、家出することがあるんじゃろう。」 「見ていて、腹立ち紛れに殴っているのがわかっているんですか、同僚だと思うと言い切れないんです・・・。」 <企業で> 「お宅の子どもさんの面倒を見るのは大変ですよ・・・・・。」と障害のある従業員の家族へ出資の強要。 <施設で> 利用者が施設に、無条件で年金の管理を依託している。 <地域で> 一家に巣くう強権者 消費者被害 ・しかし、「ほっと」の活動は、全戦全敗・・・。その原因は、 施設、事業所に問題があっても、他に行くところがない。追求仕切れず結局はうやむや泣き寝入り。移れるシェルターが必要である。 私たちに巣くう三つの根性(あきらめ、ぬけがけ、みてくれ) 等々 ・それでは、どうするか・・・。 国、自治体の責任を明確に! 成年後見制度の積極・有効活用! 「人権や権利は一人では守れない。」という意識を! 多くの人・機関が連携できるシステムを! 問題・事件は公表を! ・「ほっと」の成果としては、「言ったら変わる」という大切な経験を障害のある方にしてもらえていることがあげられる。 〔東広島市障害福祉課課長補佐 石原さやかさん(東広島市自律支援協議会)〕 ![]() 「障害者が普通に暮らせるまちづくり」を目指している東広島市の取り組みを話されました。最後に次のようなお話で締めくくられました。 ・障害者自立支援法がはじまったものの、制度がなかなか安定せず、利用者もご家族も事業者も、先の見えない不安や焦燥感のの中にいるような思いをしておられるのでは・・・。 もちろん、市町職員も、その思いは同じで、施行後2年近く経っても相変わらず悪戦苦闘の日々が続いています。 しかし、障害のある人もない人もお互いに認め合い、地域共生社会を実現しようという法の理念が実現できるまちづくりを目指そうという思いを強く持ってきました。 相談支援事業も地域自立支援協議会も、一番基本の大切な部分は「本人が主体」。 本人主体のまちづくりを地域全体で考えよう、知恵を出し合おう、力を出し合おうとすることが地域力の源になり、権利擁護のスタート地点になると思います。 〔弁護士 村上香乃さん(広島市育成会顧問弁護士)〕 ![]() ・保佐、補助類型への評価が低い傾向がある。この類型に当たる人への権利擁護が課題となっている。 ・悪徳業者は、軽度知的障害者をターゲットにしている。 コミュニケーション・人間関係能力の弱さにつけ込む。 消費生活経験不足につけ込む。 地域住民の問題(偏見、疎外、不協力)につけ込む。 ・虐待についての相談も多い。 虐待の態様としては、身体的虐待、性的虐待、経済的虐待、精神的虐待等がある。 虐待者としては、施設・作業所、親族、そしてその他第三者である。 ・権利擁護のために成年後見制度の利用が勧められている。しかし、成年後見制度だけで完全な権利擁護を図ることは不可能である。関係者、関係機関、地域の連携が必要であり、権利擁護ネットワークの構築と其の効果的な運用が急がれる。 全国育成会ネットワーク権利擁護プロジェクト事務局の堀江まゆみさん(白梅女子短期大学教授)の巧みな司会進行で各講師は遺憾なく意見・思いを語られたようです。 ◇ ◇ ◇ 今回の講座に参加し、知的障害者の権利擁護にかかわる課題の根深さを改めて知るとともに、その改善を図るため、支援者には、人権感覚を研ぎ澄まし行動力を失わないことが求められているということを強く感じたところです。 今日も新聞(3/18 朝日)が、大阪府柏原市の知的障害者厚生施設「高井田苑」(社会福祉法人 武田塾)で、施設長を含む職員が日常的に利用者に暴力を振るう(ある利用者は職員の加害行為によって大腿骨骨折の重症を負う)など、人権侵害が組織的かつ日常的に行われていたことを報じています。武田塾は理事長を含め理事8人全員が辞任するということですが、経営者としての管理監督責任をまったく果たしていなかったのですから当然のことでしょう。 さて、成年後見制度が活きる社会・・・。 私たちは、地域社会の様々な社会資源を組み合わせることによって、「暮らしの場」「日中活動の場」「余暇活動の場」を、知的障害者のために整えていかなければなりませんが、なかでも福祉事業に関わっている者には、障害者が地域社会でふつうに暮らすことができるように、そのための社会資源づくりをすることが求められているということを、何よりしっかりと自覚することが欠かせないのでしょう。 ウメ 《 ブログ紹介 〜〜 はなす手、つなぐ手、心の手 〜〜 》 《 ブログ紹介 〜〜 ひょっこ支部長の司法書士ブログ 〜〜 》 《 ブログ紹介 〜〜 「高井田苑」についての最新ブログのリンク集 〜〜 》 == おりづる作業所の製品紹介は、本ブログ「マイリンク集」 からどうぞ!== ☆☆☆ 関連の本や話題の本を紹介しています! ☆☆☆ <余暇情報> デジタルカメラによる写真画像を展示しています。 お時間があれば、写真画像館にどうぞお立ち寄りください。 http://www.geocities.jp/kenari132/ |
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