徒然の情報

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS 知的障害者の成年後見(3)・・・!

<<   作成日時 : 2008/03/18 08:26   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 今回は、去る2月24日(日)に開催された「権利擁護・成年後見インストラクター養成講座」、その午後の部の概要紹介をしようと思いますが、その前に、「 障害者自立支援法下の 地域生活支援事業所ガイドブック 〜小規模からでも目指せる多機能・多角な経営戦略〜 (特定非営利活動法人 全国地域生活支援ネットワーク)の一文を紹介しましょう。

 障害者自立支援法の第1条には、「この法律は、(中略)障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする」と書かれています。
 つまり、この法律は、その目的を「立派な施設や便利な福祉サービスの創出」に留まることなく、「障害のある方がいることを前提とした地域社会づくり」に置いているわけです。
 その実現のためには、何が必要でしょうか? 障害のある方の暮らしを支える様々な福祉サービスが街中に点在する必要があるでしょう。困ったときにすぐ駆けつけてくれる相談支援体制の整備も不可欠です。地域社会での暮らしは、様々なリスクを伴う暮らしだとすると、成年後見・権利擁護の仕組みづくりも早急に行う必要があるでしょう。
 そして、障害のある方をひとりの市民として受け止め、排除しない「新たな価値文化」をこの国に形作ることが何より必要ではないでしょうか。
 


 今回の「権利擁護・成年後見インストラクター養成講座」のもつ意義なり、位置づけが理解できるように思います

 さて、午後の部は、全国育成会ネットワーク権利擁護プロジェクト事務局の堀江まゆみさん(白梅女子短期大学教授)の司会進行によるシンポジウムでした。
 シンポジウムというのは、一つの問題について、数人の人が意見を発表し、それについての聴衆の質問に答える形で行われる討論会のことですが、聴衆の質問に答える形でのと討論会となったかどうかは別として、シンポジストはどなたも、熱く思いを語られました。


◇   ◇   ◇


〔社会福祉士 田中洋子さん(広島県社会福祉士会会長)〕

〜広島の最近の動き〜
・申し立て件数が大きく伸びてきている。その相談の主訴例を幾つかあげると、
  金融機関における本人確認によって預貯金の引き出しが出来なくなったことから
  本人の意思確認なしには施設契約が出来なくなったことから
  消費者被害に遭った、また遭いそうであることから
  福祉サービスを受けるための契約が理解できないことから
  本人の年金が使い込まれているなど経済虐待をうけていることから
  両親が亡くなり相続問題が起きたことから
  両親が亡くなり保護する者が誰もいなくなったことから
  母親が後見人をしていたが、認知症になり後見活動が出来なくなったことから
などである。 
・しかし依然として家族後見人が8割に及んでいるという現状がある。
  家族後見人が悪いわけではないが、多くの場合後見人としての役割を果たし切れていない状況がある。
・親と後見の違いをしっかりと認識しなければならない。自覚した距離感が必要である。
・弁護士会、司法書士会、社会福祉士会が第三者後見人の受け皿となっている。
・次のようなときには後見制度を活用すべきと思う。
  明らかに経済虐待を受けているとき
  明らかに身体的虐待、ネグレクト、性的虐待を受けているとき
  本人にふさわしい支援、サービスがなされていないとき
  家族がいるいないにかかわらず、本人の財産で本人の暮らしが護られないとき
  本人を護るべき財産がなく、本人の暮らしが護れないとき
  制度や福祉サービスだけでは、本人の生活が護れないとき
  本人が騙されている(経済的、精神時)ことを自覚していないとき
・ただし、後見制度にも限界があることを承知しておきたい。
  身元引受人、保証人、医的侵襲行為 などはできない。


〔地域生活支援センター「もやい」 寺尾文尚さん((社福法人)ひとは福祉会理事長)〕

・サン・グループの事件を契機に「広島人権擁護センターほっと」を設立した。


※ここで文量は増すことになりますが、寺尾さんの思いへの理解を深めるために、「ほっと」設立の契機となったサン・グループ事件を概観することにします。2007年10月16日のブログで取りあげた事件も、このサン・グループ事件を思い浮かばせました。

《サン・グループ事件とは》
 肩パット工場を経営していた滋賀県のサン・グループという会社には、常時20名以上の知的障害者が働いていました。彼らのほとんどは、障害者施設や職安から紹介されています。
 しかし、サン・グループの実態は実に悲惨なものでした。 

1.W社長は、日常的に暴力を奮い、長時間労働や休日出勤は当たり前、賃金はほとんど支払わず、満足な食事も食べさせてもらえないまま栄養失調に陥った者もいれば、適切な治療を受けさせてもらえず亡くなった者までいる。
2.また、W社長は、従業員の家族に対しては、「自立の妨げになるから」と遠ざける一方で、事業資金が苦しくなると、障害者を預かってもらっているという親・兄弟の弱みにつけこみ、「一生面倒みてやる」と言って、多額の寄付や貸付を強要した。
3.そればかりか、W社長は、信頼されて預かっていた従業員の預金や年金を横領し、それが無くなってしまうと、十分な説明もせずに、従業員の将来の年金まで担保に借金をさせ、その借入金も使い込んだ。

 さらに、金融機関も結果として加担していた。
 従業員たちの預金口座のあった金融機関は、サン・グループとも長い期間取引があったた。年金の振込直後、W社長によりそのほとんどの全額が引き出されていたが、金融機関は何ら対応していない。また、年金担保融資の申込みを三、四人一度に受け付けてもいるが、この不自然さをも見過ごしている。

 そらにさらに、行政の放置もあった。
 施設や職安は、安易に知的障害者を紹介し、その後適切なアフターケアーをしておらず、地域の福祉事務所や労働基準監督署は、保護者らから何度となく相談を受けながら、なんら迅速な対応をせず事態を放置し、救出を遅らせた。滋賀県の障害福祉課も、発覚まで事態を知らなかったと言う始末。

 なお、W社長は、1996(平成8)年5月に業務上横領の罪で逮捕され、97年1月に懲役1年6月の実刑判決を受けたものの、これは被害者四名についての年金被害の一部についてのみのもので、事件の本質である被害者への虐待や行政の無策は未解決のままとなった。
 このことから、被害者たちは、事件を闇に葬らないため、W社長はもちろんのこと、国や県を相手に国家賠償の訴訟を提起し、また、金融機関に対する損害賠償の訴訟を提起した。

2003(平成15)年3月24日、大津地方裁判所は、加害者W社長はもとより国や県の責任をも認める判決を出した。


 以下は、当時の毎日新聞の記事です。

<虐待判決>就職あっせんした国と県など賠償命令 大津地裁 (3月24日 13:46)

 滋賀県五個荘町の肩パッド製造会社「サン・グループ」(既に倒産)で就業した知的障害を持つ元従業員や在職中に死亡した男性1人の遺族計18人が、「職場で虐待を受け、賃金未払いのまま劣悪な条件で働かされた」などとして、同社の元社長(56)や就職あっせんなどをした国、県に慰謝料など計約5億3600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、大津地裁であった。

 神吉正則裁判長は原告側の訴えを認め、国や県などに計約2億6000万円の支払いを認めた。判決は、労働基準監督署が必要な調査をしていれば、同社への是正勧告が出来たのに措置を怠った、などとして国などの違法性を認定した。原告弁護団によると、障害者の雇用を巡り国の責任を認めた判決は初めてで、雇用政策や障害者施策に大きな影響を与えそうだ。

 訴えなどによると、原告らは82〜96年に同社の寮で暮らしながら勤務。原告側は、元社長は従業員に日常的に殴るけるの暴力を加え、治療を拒まれた男性が死亡した▽賃金未払いで長時間労働などを強要した▽従業員の障害基礎年金計約8100万円を横領した――などと主張。

 また、当時の公共職業安定所や県の障害者施設などがこうした実態を知りながら原告らを同社に紹介した▽家族が県の福祉事務所などに被害を伝えていたのに、労働基準監督署や県は改善などの措置をしなかった――ことなどから、労働基準法や障害者基本法などが定めた義務に違反していると訴えていた。

 元社長は97年1月、障害基礎年金計1430万円を横領した横領罪で懲役1年6月の有罪判決が確定。既に服役して出所したが、訴訟では「虐待はまったくのねつ造」と反論。国、県は「入社は本人と保護者の意思によるもので、調査義務もない」などと責任を否定していた。 【平野光芳、田中龍士】


「毎日新聞」(2003年3月24日)



国と滋賀県が控訴を断念 滋賀の虐待損賠訴訟 (4月04日 14:02)

 滋賀県五個荘町の肩パッド製造会社「サン・グループ」(既に倒産)で知的障害者らを劣悪な条件で働かせたとして、国と県などに計2億7700万円の支払いを命じた大津地裁判決(3月24日)について、坂口力厚生労働相は4日の閣議後会見で、控訴断念を表明した。また国松善次・同県知事も同日、控訴しない方針を明らかにした。

 坂口厚労相は「行政的な問題点はあるが、(裁判に)かなり長い年月を要しており、決着したいという強い要望もあるので、控訴しないということで結論づけたい」と述べた。
 また、被害者らが匿名の手紙で救済を求めたにもかかわらず、放置していた労働基準監督署と職業安定所の姿勢を違法と判断された点は「甘んじて受けなければならない」などとしたうえで、地域と連携して障害者雇用を推進する考えを示した。

 判決によると、同社社長は92年ごろから従業員に暴力を振るい、劣悪な環境で長時間労働をさせたほか、従業員の障害基礎年金を着服。労基署は保護者らから権利救済の申し立てなどを受けながら、是正勧告などの措置を怠ったなどとして、国や県の責任を認めた。

 原告弁護団によると、障害者の雇用をめぐり国の責任を認めた判決は初めて。判決後、被害者や民主党は同省などに控訴しないよう求めていた。【須山勉】


「毎日新聞」(2003年4月4日)




・現行の苦情解決制度「第三者委員会」には、委員を施設側が任命するという根本的な問題がある。
・人権侵害防止とともに、市民としての権利を回復するように人権推進の活動が不可欠である。
・「ほっと」の理念は、
 地域住民からの様々な相談への対応(相談には即応)
 社会福祉施設における権利擁護とサービス向上(第三者委員活動)
人権意識向上のための啓発・研修
 人権に関する問題の実態把握(調査・研究)
 市民とともに制度の改善・確立への働きかけ(市民運動)
・「ほっと」が受けた深刻な相談例として、
<学校で>
  「学校に来さす前に、家出することがあるんじゃろう。」
  「見ていて、腹立ち紛れに殴っているのがわかっているんですか、同僚だと思うと言い切れないんです・・・。」 
<企業で>
  「お宅の子どもさんの面倒を見るのは大変ですよ・・・・・。」と障害のある従業員の家族へ出資の強要。
<施設で>
 利用者が施設に、無条件で年金の管理を依託している。
<地域で>
  一家に巣くう強権者
 消費者被害
・しかし、「ほっと」の活動は、全戦全敗・・・。その原因は、
 施設、事業所に問題があっても、他に行くところがない。追求仕切れず結局はうやむや泣き寝入り。移れるシェルターが必要である。
 私たちに巣くう三つの根性(あきらめ、ぬけがけ、みてくれ)
 等々
・それでは、どうするか・・・。
 国、自治体の責任を明確に!
 成年後見制度の積極・有効活用!
 「人権や権利は一人では守れない。」という意識を!
 多くの人・機関が連携できるシステムを!
 問題・事件は公表を!
・「ほっと」の成果としては、「言ったら変わる」という大切な経験を障害のある方にしてもらえていることがあげられる。


〔東広島市障害福祉課課長補佐 石原さやかさん(東広島市自律支援協議会)〕
 
「障害者が普通に暮らせるまちづくり」を目指している東広島市の取り組みを話されました。最後に次のようなお話で締めくくられました。

・障害者自立支援法がはじまったものの、制度がなかなか安定せず、利用者もご家族も事業者も、先の見えない不安や焦燥感のの中にいるような思いをしておられるのでは・・・。
 もちろん、市町職員も、その思いは同じで、施行後2年近く経っても相変わらず悪戦苦闘の日々が続いています。
 しかし、障害のある人もない人もお互いに認め合い、地域共生社会を実現しようという法の理念が実現できるまちづくりを目指そうという思いを強く持ってきました。
 相談支援事業も地域自立支援協議会も、一番基本の大切な部分は「本人が主体」。
 本人主体のまちづくりを地域全体で考えよう、知恵を出し合おう、力を出し合おうとすることが地域力の源になり、権利擁護のスタート地点になると思います。


〔弁護士 村上香乃さん(広島市育成会顧問弁護士)〕

・保佐、補助類型への評価が低い傾向がある。この類型に当たる人への権利擁護が課題となっている。
・悪徳業者は、軽度知的障害者をターゲットにしている。
  コミュニケーション・人間関係能力の弱さにつけ込む。
  消費生活経験不足につけ込む。
  地域住民の問題(偏見、疎外、不協力)につけ込む。
・虐待についての相談も多い。
  虐待の態様としては、身体的虐待、性的虐待、経済的虐待、精神的虐待等がある。
  虐待者としては、施設・作業所、親族、そしてその他第三者である。
・権利擁護のために成年後見制度の利用が勧められている。しかし、成年後見制度だけで完全な権利擁護を図ることは不可能である。関係者、関係機関、地域の連携が必要であり、権利擁護ネットワークの構築と其の効果的な運用が急がれる。



 全国育成会ネットワーク権利擁護プロジェクト事務局の堀江まゆみさん(白梅女子短期大学教授)の巧みな司会進行で各講師は遺憾なく意見・思いを語られたようです。


◇   ◇   ◇

 
 今回の講座に参加し、知的障害者の権利擁護にかかわる課題の根深さを改めて知るとともに、その改善を図るため、支援者には、人権感覚を研ぎ澄まし行動力を失わないことが求められているということを強く感じたところです。
 今日も新聞(3/18 朝日)が、大阪府柏原市の知的障害者厚生施設「高井田苑」(社会福祉法人 武田塾)で、施設長を含む職員が日常的に利用者に暴力を振るう(ある利用者は職員の加害行為によって大腿骨骨折の重症を負う)など、人権侵害が組織的かつ日常的に行われていたことを報じています。武田塾は理事長を含め理事8人全員が辞任するということですが、経営者としての管理監督責任をまったく果たしていなかったのですから当然のことでしょう。

 さて、成年後見制度が活きる社会・・・。
 私たちは、地域社会の様々な社会資源を組み合わせることによって、「暮らしの場」「日中活動の場」「余暇活動の場」を、知的障害者のために整えていかなければなりませんが、なかでも福祉事業に関わっている者には、障害者が地域社会でふつうに暮らすことができるように、そのための社会資源づくりをすることが求められているということを、何よりしっかりと自覚することが欠かせないのでしょう。







ウメ








== おりづる作業所の製品紹介は、本ブログ「マイリンク集」 からどうぞ!==




☆☆☆  関連の本や話題の本を紹介しています!  ☆☆☆



<余暇情報>
 デジタルカメラによる写真画像を展示しています。
 お時間があれば、写真画像館にどうぞお立ち寄りください。
   http://www.geocities.jp/kenari132/





設定テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文